甘いケーキは恋の罠
休日のためがやがやと騒がしい商店街を抜け、バス停に着くと時間前にも関わらず匠さんが立っていた。
後ろ姿でも分かる程のその存在感は見慣れない私服であるのも加えて、胸を高鳴らせた。
「すみません、お待たせしました。」
小走りで駆け寄るとゆっくりと匠さんがこちらを振り返る。
まるで昨日の様なその出来事に夢なのではないだろうかという錯覚をした。
「こんにちは、新井さん。早速ですが行きましょうか。」
そう言って自然に私をエスコートする匠さん。
「相模さん、どちらへ向かわれるのですか?」
行き先を知らされていない私は匠さんに問うた。