甘いケーキは恋の罠

開いた私の口の中に何かが入ってきた｡


｢甘いでしょ？美味しい？｣


突然の事に思考回路が完全に止まってしまい､口の中にﾁｮｺﾚｰﾄを入れられたのだと分かるのに時間がかかった｡


｢舐めて？｣


そう囁かれて甘いﾁｮｺﾚｰﾄのせいだろうか､抵抗も出来ずに言われるがままに指に付いたﾁｮｺﾚｰﾄを舐めた｡


私の口の中からゆっくりと指が引き抜かれ､彼の口へと運ばれていく｡


その光景をただじっと見つめていた｡


｢ご馳走様｡｣


そう言って指を舐めながら妖艶な笑みを浮かべる匠さんは､何事もなかったかのようにまた作業を始めた｡


私はだんだんと冷静になっていくと同時にますます顔が､身体中が火照っていく｡



――私､指舐めちゃったよー!!?