甘いケーキは恋の罠
送り狼!?
その後も華恵さんの話しは続き、話しに夢中になっていた私はすっかり匠さんの存在を忘れてしまっていた。
「新井さん、もう外も暗いですし家まで送ります。」
匠さんのこの一言で匠さんのことを思い出した私は申し訳ない気持ちになった。
「嫌だわ、匠ったらいやらしい!送り狼になる気でしょ!」
華恵さんは両手で自分を抱き締めるようにして匠さんを見る。
「華さん、からかわないで下さい。彼女に変な誤解をされてしまうでしょう?」
そのまま匠さんは強制的に華恵さんに会計を済ますと店を後にした。
店から出ると秋の夜風が火照った頬を気持ち良く撫でていく。
「あのっ、お金―。」
私が財布を取り出す前に手早く会計を済ましたため匠さんに払わせてしまったため慌てて聞く。
「あぁ、そんなこと気になさらなくても…。僕が誘ったのですから、僕が払って当然です。」