甘いケーキは恋の罠
揺れる思い



携帯電話を手に取り、通話ボタンを押す。


「もしも〜し、瑞穂〜?」


朝から上機嫌なゆきの声が受話器越しから響く。


「うん。ゆき、どうしたの?」

今日は、日曜日で仕事が休みのためいつもなら彼氏である優也君といるはずのゆきからの電話は珍しい。


「一昨日先に帰っちゃったから、お詫びをしようと思って!」


こういった細やかな気遣いをするところがゆきの良いところだと思う。


「そういえば、優也君どうかしたの?」


私の質問にゆきは言葉を濁す。


「えー、あー……。あの、さ。瑞穂この間の合コン覚えてる……?」


この間の合コンとはゆきに半ば強制的に連れられて行ったあれで間違いないだろう。


「うん…?えっ、まさかそれで喧嘩でもしたの??」


嫉妬焼きの優也君のことだ、可愛いゆきが他の男の人と自分の知らない場所で会っていたことを快く思わなかったのだろう。


「う〜。瑞穂ぉ。だって別に私が行きたくて行ったわけじゃないもーん!沙綾<サアヤ>が来いって脅すんだもーん。」


――あぁ、あれの主犯は沙綾だったの……。


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