甘いケーキは恋の罠
見た目も美しいクラウンのケーキは食べてしまうのを戸惑うけれど、やはりその甘い誘惑に打ち勝つ事などできない。
一番手前にある上にクランベリーが乗ったチョコレートケーキを口に運ぶと甘酸っぱい味が広がる。
「美味しい……。」
自然と顔が綻ぶ。
ゆきも同様にとても幸せそうな表情をしていた。
――プルルル プルルルル――
突如、携帯電話の着信音が鳴り響く。
「もしもし。」
ゆきが断りをいれて電話をとる。
その姿を見ていると電話を切った彼女が眉を下げて申し訳なさそうな表情をした。
「ごめん、瑞穂。優也君からで今から行かなくちゃいけなくなっちゃった。」
その後、会計を済ましたゆきは残ったケーキを箱に詰めてもらい、慌ただしく店を出ていった。
1人取り残された私はケーキにフォークを入れ、至福の時を過ごしていた。