中華屋のスター ~中華飯店 菜華 古川裕美子(39)の片恋~
ぼやけた街角で、私は足を止めた。
着の身着のままで出て来てしまった私は、
何も持っていなかった。
もう閉まってしまった小さな商店の前に
設置された、自動販売機。
ここでジュースを買う小銭すら、
今は持っていない。
どうしたらいいんだろう?
私は、途方に暮れて座り込んだ。
歩き疲れた足が、ジンジンと痛む。
人気の無い道端にいると、不意に
孤独感が襲って来た。