一月の花*君の体温
2.恋と白
翌日、僕たちはいつものように登校した。
ただ一つ違ったのは、僕たちがただの幼馴染から恋人へと変わっていたこと。
このときの僕は少し…いや、かなり舞い上がっていたと思うし、
実際それをクラスメートに茶化されたりもしたけど。
僕は間違いなく幸せだ、と言えた。
「ケン、ご飯たべよー」
「今日弁当ないよ」
恋人になっても、交わされる会話に何か変化があったわけではない。
ただ、カレンが僕を呼ぶ呼び方に敬称が消え去った。
「学食おいしくないんだよねー」
カレンが溜息をついているが、そんなこと言っても弁当がないものはない。
「コンビニ行く?」
「行く!」
他愛もない言葉を交わしながら、コンビニで適当な昼食を選んでいく。
僕はそんな小さな事に、昨日までとは違う幸せを噛み締めながら。
カレンもそうだったらいいな、なんて思う。
「あ、そーだ!今度の日曜日ね、観たい映画あるんだー。あと、もうすぐケンの誕生日だし、何か買い物しようよ」
「映画はいいとして、普通プレゼントとかサプライズにしない?」
「だって、ケンの趣味とか私に理解出来ないし。ケンの好きなもの選びなよー」
そこまで変な趣味を持っているつもりもないんだけど、要するにカレンは僕が本当に欲しいものを買いたいみたいだった。
といっても、そこまで僕も物欲があるわけでもないんだけど。
「じゃ、日曜迎えに行くよ」
「うん」
二人で約束をして、日曜の予定を相談する。
付き合うことになっても、何か変化があるわけじゃない。
お互い、今までの空気を大切にしていると言えばいいのかな。
とにかく、そういう雰囲気だった。
でも、それは決して不自然なものではなくて。
これが僕達の自然な付き合い方なんだなって、とてもしっくりきたんだ。