好きになった方が負け。
紗里奈先輩が、アッキーのことを翔太先輩に相談してることは知っていた。

翔太先輩が密かに紗里奈先輩を好きなことも。




だから、上手くこの状況に持ってこさせて、最初っからマナに聞くつもりだったんだと思う。



奈保、翔太先輩、紗里奈先輩…、みんながマナを見る。



この時点で、マナの気持ちははっきりしていた。

でも、相手は先輩。


同じ学年なら素直に言えるかもしれないけど、この時のマナには、『先輩』と言う言葉がずっしりとのっかかっていた。








『好きですけど、先輩を応援してるんで大丈夫ですよ』




嘘をつくのが苦手なマナにとって、精一杯の言葉だった。



『いい後輩持ったね。』



そう紗里奈先輩に投げ掛ける翔太先輩の言葉に、胸がチクリと痛んだ。
< 41 / 53 >

この作品をシェア

pagetop