恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》
それから数日が経って、学園中に俺とあゆが別れた、と噂がたち始めた。
――「花木先輩………。
あの、ずっと…好きでした。
いつも、見ていました」
昼休み。
一年生の女子に呼び出されて告白された。
「……あ。君……」
いつも目が合う、あの彼女だった。
「一年D組、野本 さゆりです。
……私と…付き合って欲しいんです」
「………」
見ると、彼女の膝がガクガクと震えていた。
「……少し…考える時間をくれる?」
俺の返答に彼女はパアッと明るく笑った。
「は、はいっ!私、待ちます。
いつでも、いいですから」
「うん」