恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》
「最低よ!やっぱり噂通りの男だったのね!」
言い捨てて彼女は走り去っていく。
その姿を見送りながら、溜め込んでいた息をゆっくりと吐いた。
「うぜ。……土曜はデートだって言えたらどんなにスッキリしたか」
一人呟いて再びため息をついた。
あーあ。
都合が良かったのに。
暇潰しには退屈しない相手だった。
だけどこれでまあ、いいか。
言い訳する手間が省けた。