恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》
「さっき教室で……何だよ」
司が中野に訊ねる。
「いや……、ま、いいじゃん。
お前には関係ねぇよ」
中野の一言に司が視線を足元に落とした。
「……なぁんだ…。そっか」
「え」
呟くように彼が言う。
「……知らないのは俺だけだったのか。
…バカだよな、勝手に一人で…」
「司?…お前、何言って…」
「菜緒と力也が付き合ってるなんて…知らなかったからさ。
そりゃ、……怒るよな」
「司、ちが……」
何だか話がおかしな方向に……。
「は、……ははっ。
笑えるな、俺。マジでバカだ」