恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》


二人並んで校門を出ようとしたところで彼の足が急に止まった。

私は彼の背中にぶつかりそうになり、急ブレーキを足で踏む。

「ちょっと右京くん!何なのよ、急に」

俯いた視線を正面に向けた。

……あ。

私たちの前には女子が数名。

「直之。一体どういうつもりなの?
私達を差し置いて、こんな地味子と遊ぶなんて、あり得なくない?!」

「そうよ!当て付けなの?こいつが秘かにエッチのテクでも持ってるの?」


口々に詰め寄る彼女達に、彼はニコッと余裕の笑みを返す。


「真梨恵のテク?…もったいなくて教えられないなぁ」

…ちょ、…ちょっと!!
何言ってんの!!

私は彼の袖をキュッと引っ張った。



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