恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》
そんな私の手を彼はそっと掴むと、私に片目を軽く閉じる。
"いいから、いいから。ちょっと黙ってて"
そう言われた気がした。
「もうね、遊びで女の子達とつるむのはやめたんだって。前に説明しただろ?
今は、真梨恵一筋なんだって。彼女を悪く言うと、許さないよ?」
えー?!どういう意味よ?!
彼以外の女子は私も含めて皆、唖然としている。
当の本人は変わらずニコニコ。
「今からさ、ダチに彼女を紹介しに行くから。道を空けてくれない?」
目を白黒させる私の手を引いて彼は歩き出した。