恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》
「ありがと……!聞いて…くれて。
もう、……スッキリした!」
私はそれだけ言うと向きを変えて歩き出した。
後悔なんてしない。
あんたを好きになれた事。
胸の痛みも、切なさも、その声も、優しさも、笑顔も。
全てがいい思い出になる日がきっと来る。
今はまだまだ…無理だけど。
佐山さんと……仲良くね。
本当に、悔し紛れじゃなく、心からそう思ってるよ。
「アホ菜緒」
……え。
グッと背後から抱き締められる。
「いい逃げすんな。
俺にも言わせろ。
せっかち過ぎなんだよ」
「つ……司…?」