恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》
抱き締めてくる腕の力がグッと強くなった。
「走って告りに来るくらいなら、初めから出し惜しみせずに俺のモンになっとけってぇの。
俺は初めから……お前が気になるって言ってんだろ」
耳元で…掠れた声で囁く司の息が、熱い。
「………。
気になる、…じゃ分かんない。」
「……テメェ…。
日本男児に…恥ずかしい事を言わせようと……」
「何が日本男児よ。アホ」
「……その…アホが好きなんだろ」
「さあ?……分かんなくなってきちゃった…」
「ああっ!もう!分かったよ!」
司は私をクルッと回して振り向かせると自分と向き合わせて私を見下ろした。