恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》
「……何でー…?」
付き合って三ヶ月のイケメン彼氏。
確かに私から告白して押しきる形でスタートした恋だったよ。
だけど彼はいつも彼女の私よりも友達優先。
ホモか!って突っ込みたくなるほど。
最近じゃ……もう、分からなくなりそう。
ねえ、勇樹くん……。
私の事、少しでも好きでいてくれてる……?
「あ、岩崎さん。
ちょうど良かった。新刊本が入ってきたんだけど、君、確か今週当番だよね」
その時声をかけられて振り返るとそこにはニコニコ顔の図書委員長、上杉くんが立っていた。
「……あ、はい。…そうだったかも…。
……予定がなくなったから今日なら大丈夫だけど…」
「何、暗い顔して。
桜井くんにフラれたの?」
「まだフラれてないよ!
まあ、…デートはお預け喰らったけど…」
はああー、とため息をついてションボリする私を見て上杉くんはクスッと笑う。