恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》
「そっ…そんな事、ないよ?
私、すごく幸せだもん。
勇樹くんみたいな人の彼女になれて…」
あははっ、と笑いながら言う。
…無理…なんてしてないもん。
勇樹くんみたいな人が彼氏でいてくれるだけで…それだけで…満足だもん。
「……ふぅん?そうなの?
桜井くんは…確かにカッコいい人だと男から見てもそう思うけど。
何て言うかな、もっとこう、自分を大切にしてくれる人と付き合った方が…」
「大切にされてるよ?!
ちゃんと…!」
上杉くんの言葉をかき消すように慌てて否定する。
言わないで。
大丈夫。
大丈夫だよね?
ちゃんと私、勇樹くんに大切にされてるよね?
昼休みはいつも一緒にいてくれる。
全然、不満なんてないんだから。