恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》
「そう?なら、良かった。
よし、無駄話はここまで。
口より手を動かして早く終わらせちゃおう?」
「イェッサ」
それから私と上杉くんは黙々と作業に取り掛かった。
――『すっ…好きで…す!
私と、付き合って下さい』
『は』
三ヶ月前。
ずっと好きだった桜井くんにとうとう好きだと言った。
『あー…。俺、今はそういうの…面倒臭いんだよね…』
困った顔で笑いながら言う彼の目を真っ直ぐに見て更に告げる。
『あの!私は!桜井くんの暇潰しでいいです!
彼氏になってくれたら!
それだけでいいです。
我が儘は言いません。
気が向いたら呼んでくれたらいいです!』
『………。
暇潰し……?』
『うん。だって桜井くんはみんなの人気者だから。
私なんかが独り占め出来ないもの。
だけど…好きだから、彼女にはなりたい』