恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》


"今までありがとう。
もう、解放してあげるね。
勇樹くんの彼女になれてとても幸せだったよ。

千秋"


勇樹くんにメールを送った。

――その日、彼からの返信は………なかった。



次の日。
移動教室で廊下に出た瞬間に向かい側から歩いて来る数人のグループ。

……あ。

その中央に、勇樹くんの姿があった。


「桜井くん、その後どうなったの?」

「そんなのマジで起こる訳ないじゃん。
シカトだよ」

「ええ?きゃははは」

「なあ、勇樹、昨日の店さぁ、」


………。

周りにいるのは二組の子達。
仲、良いんだな……。

私はすっと視線をそこから逸らすと俯いたまま通り過ぎようとした。

「あ。勇樹。彼女来たぞ。
千秋ちゃーん」

その中の一人が私の姿を見つけて私を呼ぶ。






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