恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》
「あの……、私、何かした?」
「ああ?!」
……うっ。
何で………?
オロオロする私を彼は凄い目で睨み付けている。
何?
まさか。
このまま別れるだけじゃ、駄目なのかな。
そう、……慰謝料…みたいな?
ええっ!どうしよう。
勇樹くんにあげるものなんて、私、持ってないよ。
「………おい。」
いや、だけど……。
勇樹くんはそんなセコい事は言わないよね。
じゃあ何。
「おい」
あ、まさか。友達の誰かと付き合え、とか思ってんのかな。
自分にもう私が近付けないようにするために?
それはあり得るかな。
私みたいな子に二度とまとわりつかれたくはないだろうし。
…………。
……私って…。
そんなに迷惑だったのかな…。