恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》
何?勇樹くんは何をいってるの?
ああ、私って。何でこんなにバカなのかな。
「あの……」
「思っている事を全て言え。
お前の気持ちも、思いも、希望も、全部。
機嫌を伺われるのって、気色悪いんだよ」
「えっと……?」
「こうしたい、とか、こうしてほしいとか。
あんだろ?
お前の考えてる事くらい、全部透けて見えんだよ」
「勇樹くん…、私の事…考えてくれてたの……?」
「……だから、俺は生身の人間なの。
ロボットじゃねぇって、言ってんだろ?
好きじゃなきゃ……三ヶ月も付き合わねぇよ」
………え?!好き?!私を?!
勇樹くんが???!!
「嘘……っ…」
「俺を人間扱いしろよ、少しは。
現実に千秋の目の前にいんだろ。
テレビの人物か何かじゃあるまいし。
………最初はおかしな女だと、遊び半分に付き合ったけど。
だんだんと一生懸命なところがバカだけど可愛く思えてきた。
……人の気持ちなんて、ふとしたきっかけで簡単に染まるんだよ」