恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》


何?勇樹くんは何をいってるの?
ああ、私って。何でこんなにバカなのかな。


「あの……」

「思っている事を全て言え。

お前の気持ちも、思いも、希望も、全部。

機嫌を伺われるのって、気色悪いんだよ」


「えっと……?」

「こうしたい、とか、こうしてほしいとか。
あんだろ?

お前の考えてる事くらい、全部透けて見えんだよ」

「勇樹くん…、私の事…考えてくれてたの……?」

「……だから、俺は生身の人間なの。
ロボットじゃねぇって、言ってんだろ?

好きじゃなきゃ……三ヶ月も付き合わねぇよ」

………え?!好き?!私を?!
勇樹くんが???!!


「嘘……っ…」

「俺を人間扱いしろよ、少しは。
現実に千秋の目の前にいんだろ。
テレビの人物か何かじゃあるまいし。


………最初はおかしな女だと、遊び半分に付き合ったけど。
だんだんと一生懸命なところがバカだけど可愛く思えてきた。

……人の気持ちなんて、ふとしたきっかけで簡単に染まるんだよ」





< 39 / 130 >

この作品をシェア

pagetop