恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》


――「おはよう」

二人で同時に教室に入った途端にクラス中の人が一気にこちらに注目する。

「杏里!こっち来て!
実華がとうとう決意したのよ!」

仲良しの朋に腕を引っ張られて私は慶太から引き離された。

「は」

キョトンとする私に朋は声を潜めてさらに言った。

「今から青山くんに告白するんだって」

「え……っ」

周りを見るとクラス中が慶太と実華に注目していた。

え。ここで?

「何かね、みんなに見守っていてほしいんだって。
さっき宣言したのよ」

………。

そんな。
実華が慶太を気にしている事は知っていた。
好きだという素直な気持ちを日頃から態度に出せる実華をうらやましくも思っていた。

だけど……、いきなり告白?






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