恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》
ドクッ、と何かが胸を刺す。
「無理……なの…?」
「うん」
胸に刺さったトゲから、痛みが沸いてくる。
「………そっかぁ…。だよねぇ……」
私は渾身の力で、涙を堪えて笑顔をつくった。
……分かっていたはずなのに。
こんな形で終わる日が来るなんて。
二人の楽しいこれまでの毎日が、……切なく甦る。
あの日も、…あの時も。
いつも慶太の笑顔が隣にあった。
私をいつでも元気にしてくれた。