恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》
「実華、………ごめんね。
話があるならして?
私は……少し、気分が悪いから保健室に行くから。
……本当に、ごめん」
「……杏里。…私は…」
「いいの。私の事は気にしないで」
私はそっと廊下に向かって歩き出した。
慶太の横を通り過ぎようと真横まで来た、その時。
「……無理だろ。
もう、今までと同じだなんて」
慶太の声が、聞こえた。
「……え?」
立ち止まり隣の彼を見上げる。
「これ以上待たされたら、どうにかなっちまうだろ。
……お前への気持ちが…重すぎて、抱え切れない」
「……は?」
「…"幼馴染み"の枠じゃ…収まり切らねぇんだよ。
お前が……好きだから。
俺が暴走する前に……早く気付けよ。
遅いんだよ、ガキ」
「……ええ……っ…?」