恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》
学校から帰って家の側まで来た私の目と耳に飛び込んでくる光景。
これまで何度、こんな事があっただろう。
「………あの、スミマセン」
私は彼女達に近付いて声をかけた。
「「え」」
「やだ、妹さん?」
「ええっ。可愛い」
「あんま、似てないわね」
………好きな事を言って。
私を不躾に観察する目を睨む。
「兄は……帰ってません。
今日は生徒会で遅いから。
学校に戻った方がいいと思いますよ。
………因みに…公園でトークするなんて、下らない事にお兄ちゃんは付き合いません」
「「え……」」
私は彼女達の真ん中にぶつかるように入り、そのまま家にバタンッと入った。
「あ」
「よ。おかえり」
玄関に座ってニコニコと私を見上げる優しい目。