恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》


「……びっくりした。
何してんの、こんな所で…」

……聞かれてないよね?
ドキドキする。

「いや、家に入った途端に外から声がしたからさ。
出た方がいいか、迷ってた。
そしたら楓が………」

カァッと顔が火照る。

「わ、私!着替えてくる!」

慌てて靴を脱ぎ、階段に一歩足を踏み出した時、後ろでお兄ちゃんが話した。

「…俺、今日は生徒会じゃないけど。
それと、公園も割と散歩で行くよ。
ポチの」

………!

「や、あの、迷惑だろうから私が追い払ってあげただけよ!」

振り返って私が言うとお兄ちゃんはニヤリと笑った。

「ブラコン」

!!!なっ!!

何よ………!




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