恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》



二人の間に張りつめた沈黙が漂う。
お兄ちゃんは私をじっと見つめたまま動かない。
私もそんなお兄ちゃんの目を鋭く見つめ返していた。

「……は…はは……っ」

「……?!」

突然お兄ちゃんが力なく笑った。

「……おにい……?」

「…なぁにマジになってんだよ…。
冗談に……決まってるだろ…」

………え。

「誰がお前に欲情するか。
自惚れてんのは…楓の方じゃん」

「……!なっ……!」

「…ばぁか。……本気にすんな」

…………。






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