恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》


「……ん、……はぁ…」

私の吐息に、お兄ちゃんはそっと唇を離した。

「…楓……、本当に可愛い…」

「……妹だから……でしょ…」

私の呟きにお兄ちゃんがふっと笑う。

「……ばか。妹だなんて……思った事ねぇよ…」

「え…?どういう……」

「……しっ…。話は後で。
とりあえず今は……もう一回……」

「………えっ。………んん……っ!」

再び、お兄ちゃんがキスをしてくる。

や……、もう……。
胸と息が…苦しいよ……っ…。



――ガチャ。

「かえで〜、としや〜。
帰ってるの〜?
んもう、靴を脱ぎ散らかして……」

!!!!

突然玄関のドアが開いてお母さんの声がした。






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