恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》
――「あれ。一ノ瀬。まだいたのか」
その時。
司が出ていった扉から入ってきた男子。
「中野………」
彼は司の親友。
いつも一緒にいる。
相手は男子なのに、いつも一緒で羨ましいなんて本気でバカみたいに嫉妬したりした事もある。
「何?!お前、泣いてんの?!」
指摘されて余計に泣ける。
「うっ…うう〜………」
「何だよ?どうした?
…漏らしたのか?!」
………アホだ、こいつ…。
「ンな訳、…ないでしょお〜〜〜……。
あほぉ〜〜!」
うわーっ、と泣き出した私を彼はオロオロしながら見ている。
「ばか、冗談だって!ごめんて!
泣くな、頼むから!」