恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》
再び俺の身体が硬直する。
ハイ…?
そんな俺の様子を見て海ちゃんはまたしても狼狽え始めた。
「いや!!あの!だっ、駄目よね!!
いやだ、私。
どうしてこんな事……!」
…………。
可愛い………。
いやいや。そうじゃないだろ。
…………何故。
「……どうして」
理由を聞いてもいいだろ。
俺は今、十六年間、人間をやってきて一番驚いているんだから。
「……さっきね、見たの。
彼氏の………浮気現場」
………。
彼氏………。
………。
彼氏??!いたの?!
って。またまた、違うだろ!
いたっておかしくない。
うん、むしろいない方がおかしい。
君ほどの子を、世の男達は放ってはおけないから。