恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》
「そっ……そうなんだ。
それで……?
何で俺?」
当てこするにしても、頼む相手なら沢山いるのに。
俺に頼む理由が分からない。
まさか。
俺の気持ちに気付いていたのか?
いや。……ないよな。
じゃあ………。
「宇田川くんは……かっこいいし…。
女の子にもモテるから。
彼も勝ち目がないって、納得するでしょ」
ハイ?
いやいやいやいや!!!
「も、モテてない、モテてない!
何を、そんな!」
俺は手をブンブン振って否定した。
確かに女の子からは度々告白されたりはするよ?
だけどそんなの、この年代の熱病みたいなものだろ?
みんな恋したい、恋してみたい、って思ってる。
例え相手がストライク100%じゃなくても、恋愛したい気持ちが上回っているだけなんだよ。