恋の宝石箱《鳴瀬 菜々子のオムニバス・teenslove短編集》



最近よく目が合うあの子。
名前さえ知らないけれど。
まあまあ、可愛い子だな。

視線を再び目の前のあゆに戻した。


彼女は俺なんてまるでいないかのようにせっせと手を動かしている。

「……あゆ。帰ろうよ」

「うん。この段を編んだらね。
あと五分」

「………うん」

彼女をじっと見つめながら心の中で問う。

ねえ、……君は、俺が本当に好きなの?
俺達が一緒に過ごす事に、最近は意味があるのだろうか。

君が俺を見つめたのは…。一番…最近は、いつなんだろう。

俺はいつだって、君をこうして見ているけれど…。

温度差があるように感じる俺は…間違っているのだろうか。





< 96 / 130 >

この作品をシェア

pagetop