東條くんのとある1日
AM12:00



「…、さむ」

「10月も終わりになると秋じゃなくて冬っぽいよね」

「さむい」

「うん」

「さむい。寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒」

「屋上で食べようって言ったの、東條くんじゃないですか!!」

「言ってねえー」

「いいい意味がわからんっ」



白いカーディガンをだぼっと着た東條くんはさっきまで授業だったせいか黒ブチの眼鏡付きで。

うーん。いつも思うけどお洒落だ。そして指先まで隠れた袖がかわいいと思う私は変態なんだろうか。




「おでん」

「は?」

「食いたいな」

「あ、うん」

「買ってこい」

「やだよ!!」



週に1回あるかないかくらいで東條くんとは一緒にご飯を食べる。

クラスの子は私たちが幼馴染みなのを知ってるからなにも言わない。


でも東條くんはたぶん私といるとちゃんと喋るし、ちゃんと喋ることがバレればいっぱい話しかけられるからいっつも密会みたいに会わなきゃいけない。


片想いの王子さまキャラとこっそりお昼を一緒に過ごす、なんて。

マンガとかだったら楽しい展開なんだろうけど実際はけっこう大変だったりするのだ。


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