東條くんのとある1日

この通り環境が悪かったりする。私は、全然嫌じゃないけど。



「東條くん、玉子焼きちょうだい」

「やだ」

「けち」

「あほう」

「くださいっ」

「黙ろうか」



お箸をもくもくと動かしながら東條くんが楽しげに笑った。

無気力クール系王子なんて言われてるけど、東條くんはほんとはよく笑うんだ。




なんか。



「…、東條くんってマンガみたいだよねえ」

「はあ?」


不意にすっごくそう思った。

東條くんは少女マンガか携帯小説のヒーローみたいだ。

マンガだと学校では超爽やかな王子キャラのイケメンが幼馴染みの前だと意地悪くなる。


東條くんの場合究極のめんどくさがりと人見知りを掛け合わせただけだけど、なんだかそういう設定っぽい。


マンガとかだったらなー。この場合東條くんの相手は私になれるのかな。なんて。




「私、痛い子かもしれない…」

「今さらかよ」



くすりと笑って私のお弁当から玉子焼きをかっさらう彼は、マンガの男の子より数百倍かっこよかった。



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