東條くんのとある1日

羨ましい。私は幼馴染みだし他の誰より大事にされてると思ってた。

学校でも会話してくれるし、気にかけてもらってるのもわかる。


けどじゃあ実際、なに?私が大事にしてくれるのはもう何年もだし、ただの習慣みたいなもので。

そこに特別な心なんてなくて、ただ小さい頃からのクセみたいにそばにいてくれる。


そんなこと、知ってた。


けどこのまま一生変わらないのなら別にそれでもいいやなんて思っていたんだ。

だって変わらないのなら、たとえそこになにもなくても今のままなら。


朝迎えに行けて、菜乃って呼んでもらえて、ご飯をわけっこして、一緒に帰って課題手伝ってもらって夜中までゲームしたり。

クールって呼ばれてる東條くんを似合わないなあと思ったり名字が嫌いだとか思ったり。


全部、全部。東條くんが幼馴染みの私を一番にしてくれるから出来ること。


でもこれが変わったら私はただのクラスメイト。たとえば東條くんに彼女が出来たりしたら。





「あーあ…。」


出来ないわけないじゃん。

あんなに綺麗でかっこよくて、本当は優しいんだから。

いつかこんな日がくるってどこかでわかっていたけれど、もしきたら、私は祝福なんて出来ない。

絶対、出来ない。だってほら、考えるだけで泣きたくなるのにできるはずない。




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