東條くんのとある1日
「東條くん!私、本気だよ!」
「ちょ、タンマ…!くくっ」
「もぉぉなんなのー!!」
なにがツボだったのか。
肩を震わせるどころか盛大に笑い出した東條くんは目に涙をためながらこっちを見た。
ようやく笑いは収まったのか、大きく息を吐き出しながら。
「ごめんごめん。ちょっと笑えた」
「なにがっ」
「菜乃の顔」
「!」
がーんっ!!
盛大に石でも食らったような衝撃を受けた。ひどい。ひどすぎる。
なんて横暴だ。こっちは17年も幼馴染みしてきた男に人生初の告白かましたはずだったのに。
まさかこのタイミングで顔を笑われるなんて。生まれつきなんですけどっ。
「ごめん。英語見せてやるから許せよ」
ぽんぽんと私の頭を撫でながら、にっと笑う。夕日が後ろにあって光に透けた黒髪がきらきらしてる。
それがあんまりかっこよくて胸の奥がきゅーんとした。