東條くんのとある1日
それから東條くんは私の手首を引っ張って、帰ろうと笑った。
それに小さく頷きながらなにか違和感。
ん?あれ?
「(私の告白は…?)」
飄々と私の手首を掴んだまま先を歩く彼を見上げる。
告白は、結局流されたんだろうか。てゆーか私忘れてたとかどんだけバカなの!
聞くに聞けなくておろおろしていたら、それに気付いたのか東條くんがくるりと振り返った。
「なに?」
「えっと、あのー」
「なに。」
「ふ、フラれたのかなっ」
「は?」
不思議そうに首を傾げた東條くんはしばらく視線を宙にやってからこっちを見た。
「ああ、あれね」
告白したことすら忘れられてたの…!?本気だったのに!!
あまりのショックで泣きたくなった。どんだけ圏外にいるの私。
そんな私を見ながら東條くんはふっと綺麗に笑って見せた。
と。
「これでいい?」
繋いだ指先を持ち上げる。
さっきは手首を掴んでただけだったのに、今はお互いの指が絡んでる。
いわゆる“恋人繋ぎ”。