東條くんのとある1日
「東條くん、かっこいーよねー」
「女の子からの呼び出し、ちゃんと行くとこも優しくていいよね!」
「クールキャラなのに優しいとか、ギャップやばいよね!!」
彼女たちの会話に激しく頷く。心の中で。ただしクールキャラは否定してしまう。
東條くんは学校であんまり話さない。
でもクールキャラなんかじゃないし東條くんはキャラ作りしてるわけでも二面性があるわけでもないんだ。
本当はひとと会話するのがダルいだけ。とか本人は言ってるけどたぶん実際は人見知りしてるだけ。
だから仲いい男子とかとなら騒いでたりするもん。女子と関わらないんじゃなくて関われないだけだもん。
それをクールキャラなんてかっこよく言えちゃうのは恋は盲目的なアレだろうか。
そして東條くんは学校では必要以上に私と関わらない。
「福原、」
「………あ。モテ男だー」
「語尾伸ばすと馬鹿に見える」
「それ今日2回目だよ」
「ごめん。見えるだけじゃなくて本物の馬鹿だったな」
半笑い気味のだるーい表情に眩しい朝日が後ろから射していて思わず目を細めた。
心臓がぎりっと痛む。
【ふくはら】
私は自分の名字が嫌いだ。