東條くんのとある1日


「東條くーん」



ぼそっと呟いてみる。

斜め前の東條くんは白とグレーのおしゃれなヘッドフォンをかぶって机にうつ伏せていた。

完全に寝る体制だ。と、そこに仲のいい高橋くんがけたけた笑いながら東條くんを叩き起こして殴られている。

東條くん、眠たいのかな。



ざわざわと教室は騒がしい。

私はじっともう一度寝る体制に入った東條くんを眺める。騒がしい教室なんだけど、ずっと見てると東條くんしか視界に入らなくなる。

ざわざわと騒がしい喧騒の中で、ぽつりと呟いてみる。




「好きだよー」


あ。語尾伸ばしちゃった。馬鹿に見えるぞって笑われちゃうな。

心臓がちくちく痛む。教室は、彼との距離を感じてしまう。ちょっぴり切ない場所。







AM8:48
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