私に、できること【長編/未完】
「また寝ようとして、
…気づいたの。
…指。
…あれ?もしかして…
さっき時計を、右手の親指で
握ってた。
なんで気づいたのかな。
いつもなら、そんなこと
気にしないのに。
少し笑いながら、
もう一度、眠った。
心を弾ませながら。
次に起きたときには
太陽の光がまぶしかった。
寝転がったまま
手を上に伸ばしてみる。
…指があって、腕があって。
布団をまくって、確かめる。
足も髪の毛も。
鏡には、顔が映る。
昨日はずっと、
見られなかった。
透明のままだった。
だから、
自分を見ているのに、
すごく懐かしかった。」