私に、できること【長編/未完】
「私の名前、
山中 栞(やまなか しおり)は
そういう意味をこめて
つけられたらしいの。
まわりの人が 辛そうなとき
――山の中で 迷ってるとき、
その道標になれる、
そんな人に
なってほしい って。
だから、私も それを信じて
過ごしてきた。
けど、いつからだろう。
自分に、自信が
なくなったんだ。
頭もよくないし、
足も速くないし、
目立つわけでもないし、
…友達も いなかった。
…うらやましかった。」
目が真っ赤だ。
声も、かすれている。