史上最悪最低男
全身全霊で愛の言葉を。
「フフッ 千紘見っけぇ~♪」
屋上で1人寝ていると、近づいてきたのは1人の女。
「あれ?5限は?」
「えぇ??千紘といたいからサボっちゃったぁ」
いちいち語尾を上げるこの女の名前は、鏡 紫音。
明るいブラウンに染めた髪はウェーブに流れ落ちている。
その髪が重力で顔にかかってんだよ。
くすぐってぇ。さっさと離れろ。
なーんて言葉は口にしない。
すると鏡はニッと笑って顔を近づけてきた。
僕は特に抵抗もせず、鏡の唇を受け入れる。
桃花とは全然違う唇。
ベタベタするグロスが僕の唇に纏わりつく。