まだ私たちの間につける名前はない。
「何飲む?」
「ん…梅酒」
『カクテル的なやつー♪可愛いの選んで?』
「はいはい、美咲は水ね」
『えー??』
「もうフラフラでしょ?」
『頭はいたーい』
「馬鹿みてぇに飲むからだよ」
「雅弘が煽るからでしょ」
『そーだそーだ!』
「千尋もそっちの味方かよー」
「当然。ほら、行くよ」
途中お酒を購入する為にコンビニに寄った。
冷ストッカーをしゃがんで眺める私の頭を優しく千尋が撫で、立ち上がらせる。
『こっちー?』
「さぁ?」
「お前の家、お前しか知らないんだからしっかりしろよ」
『はーい』
フラフラする私の手を雅弘が引き家路につく。
本当にいつもだったらこんな風になる程飲んだりしないのに。
二人に安心仕切っているのが酔った自分にも分かった。
『あ、ここ』
「結構いいとこ住んでんじゃん」
『そうでもないよ?…鍵入んない』
「ん。ほら、貸して?」
『あ、ありがと』
もたもたしていると、千尋が鍵を取ってすっと開けてくれる。
「お邪魔します。…ん、意外と綺麗」
『雅弘外泊まる?』
「やだ」
「広いね、お邪魔します」
『どぞ』
良かった、掃除した次の日で。
そんな事をぼんやり考えた。
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