まだ私たちの間につける名前はない。
「美咲はいないの?」
『何が?』
「いい人」
『いたらさすがにこんなことしないって』
あー、明日起きたら後悔するんだろうな。
千尋にも呆れられちゃってるよね、けどなんだか幸せだからいっか。
「美咲はさ。どんな人がタイプなの?」
不意に頭を撫でながら千尋が尋ねた。
『んー?そうだなぁ、優しくてちょっと束縛してくれる人がいいかも』
「えー、そうなの?意外」
『どういうこと?』
「なんかサバサバしてるじゃん、美咲はさ。束縛なんてされたらすぐ別れられそう」
『えー、どんな印象なのよ。...私束縛されたことってないからさ。だから一回くらいされてみたい』
「ふぅん」
しばらく間があき、ぐいっと千尋の手によって腰が引き寄せられた。
更に千尋との距離が縮まる。
『っあ…な、何?』
「してあげようか」
『何を?』
「束縛」
『へ?』
千尋の言葉が、とっさに私には理解できなかった。
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