まだ私たちの間につける名前はない。
キスしたいー
そんな衝動に駆られた。
そんな事を考えてしまった自分に驚き、慌てて目を瞑る。
何を考えてるんだ、相手は千尋なのに。
「何、首振って...どうかした?」
『え』
「具合悪い?」
『だ、大丈夫!』
「そ?」
宥めるように、伸びてきた千尋の手は私の背中を撫でる。
目を閉じてそれを受け入れているうちにまた眠気が襲い、夢に誘われた。
願望がそうさせたのか、千尋に口付けされる夢を見た。
優しく扱ってくれているのが唇から伝わり、泣きそうになった。
『...欲求不満か』
起きて自己嫌悪する。
可愛い千尋を汚してしまったような気持ちになった。
...と。
隣にあったはずの温もりが消えていた。
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