まだ私たちの間につける名前はない。
お酒が来るまでの間、たわいもない話をする。
『二年ぶり?』
「そうかも。まだ学生だったし」
『その前は成人式だったしね?二年毎だなー』
「そうだねー」
話せば話す程、私の知っている千尋に戻っていく。
よくよく見たら、顔もそんなに変わってないかも。
その内、テーブルにお酒が届く。
『じゃ、かんぱー』
「あ」
『ん?……ッ痛!!!』
千尋の視線が私の上に向き、釣られて振り向く前に、頭に衝撃が走った。
「おー、千尋じゃん。久しぶり」
「久しぶりー。スーツだ」
「そうだよー、そっちは私服出勤?」
「うん、そう」
『……って言うか私の頭は荷物置きじゃない!』
「あ、わりーわりー」
ちっとも悪いなんて思ってない声で、雅弘は鞄を私の頭から下ろした。
俺様抜きに飲み始められると思うなよ、とニヤニヤしながら千尋の隣に座る。
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