まだ私たちの間につける名前はない。
「…にしてもお前は変わんねーな」
「みんなに言われる。ちょっとむかつく」
『え、ちょっと男らしくなったじゃん。声低いし』
「やー、変わんねーよ」
『あんたはおっさんになったけどね』
「じゃあお前はオバサンだな」
「みんなおじさんとおばさんだねー」
悪態をつきながら、
幼なじみが三人集まれば自然と話が出るのは昔話。
「お前はガキ大将だったな」
『…え、私?』
「うん、暴れてたね」
『え、嘘!?』
千尋まで真顔で言うものだから、素っ頓狂な声を上げてしまう。
結構、優等生なつもりでいたんだけど。
『誰に!』
「全体的に?男子はみんな被害者だよな」
『嘘だよ!私、千尋に暴力奮ったりしないよ?』
「うん、俺は見てた。みんな大変だなーって」
「俺最初で最後、お前だけだぜ?女の子にグーで殴られたの」
『…覚えてない』
「都合良い脳みそしてんなぁ」
記憶に無い、と落ち込む私に千尋は一言。
嫌いになってたらこうやって集まらないよ。
もう、良い子だねー、と手を伸ばし頭をグシャグシャと撫でる。
冷静に髪を直す千尋とのやり取りを雅弘は笑って眺めている。
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