龍奇譚-彼の想い-





兄さんは自分の身に何が起きたのか分からないのか、惚けている。





……………間抜け面…………



締まりの無い顔が、余計に緩んでいて気持ちが悪い。





「司ぁー…聞こえてるんだけど………」



兄さんが縋るようにゆっくりと私に近寄って来る。





ゆっくりと、だが確実にその距離は詰まっていく。





< 207 / 682 >

この作品をシェア

pagetop