龍奇譚-彼の想い-





私は家を出る前に用意していたある物を取り出す。



父さんに頼んでいた物。



それが彼女を救う為にどうしても必要となる。





ーーー……勾玉……



透明で、一切の澱みなく透き通ったそれ。



勾玉には緑色の長めの紐が通してある。





「これを着けて貰える?」

「……っ!!!」



ネックレスの形となっているそれを、明月さんの目の前に差し出す。





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