龍奇譚-彼の想い-
峰には飽きられたけど。
でも、これで一安心だ。
一応、明かりは出来たのだから。
心許ない、いつ消えるかも分からない炎だけど……
さて、行こう。
炎によって、仄かに照らし出された洞窟内を歩く。
その間、俺たちの間に会話がなされることはなかった。
洞窟を抜き出ると、次はこれまた暗闇に包まれた森。
鬱蒼と生い茂った木々たちにより、月明かりでさえも届かない。
よくこんな所まで明かりもなしに来れたな、と自分でも感心する。